第4編
レイヤー2

リングプロテクション(ERPS)の機能説明

リングプロテクション(ERPS)は、リングトポロジーで構成されたイーサネットのトラフィックを保護します。装置は、ITU-T G.8032 ERPS(Ethernet Ring Protection Switching)に準拠しています。

リングプロテクション(ERPS)では、トラフィックを保護するためのRPL(Ring Protection Link)を設定します。通常時は、ループを回避するためにRPLはパケット転送用リンクとして使用されません。ネットワーク上で障害を検知したときは、RPLを使用してパケットを転送します。

注 意

リングプロテクション(ERPS)と各種スパニングツリー(xSTP)は、装置内で併用できません。

リングプロテクション(ERPS)の概要

G.8032物理リング

リングプロテクション(ERPS)では、G.8032物理リング(以後、リング)を構成するために物理的なリングを作成し、リングポートおよびERPインスタンスを設定します。なお、リングは、ethernet ring g8032コマンドで作成します。

補 足

作成可能なリングの最大数は14個です。

リングポート

リングで使用するポートを装置ごとに2つずつ設定します。リングポートは、port0コマンドおよびport1コマンドで設定します。

ERPインスタンス

リングで保護するVLANなどの情報をまとめるためにERPインスタンスを作成し、以下の項目を設定します。()内は使用するコマンドです。なお、ERPインスタンスは、instanceコマンドで作成し、activateコマンドで有効化します。

  • トラフィックを保護するVLAN(inclusion-list vlan-idsコマンド)
  • VLANを保護する際にRPLとして使用するリンク(rplコマンド)
  • R-APSメッセージを送受信するためのVLAN(r-aps channel-vlanコマンド)
  • ERPインスタンスのリングMEL値(管理レベル)(levelコマンド)
  • ERPインスタンスの説明(descriptionコマンド)
  • 各種タイマーを設定するプロファイル(ethernet ring g8032 profileコマンドで作成、profileコマンドでERPインスタンスに登録)
補 足

ERPインスタンスは1リングに1個までのサポートとなります。

補 足

CFM機能と併用する場合は、リングMEL値(管理レベル)をCFMのドメインレベルより高く設定してください。

G.8032プロファイル

G.8032プロファイル(以後、プロファイル)は、以下のタイマーを設定するために作成します。プロファイルは、ethernet ring g8032 profileコマンドで作成し、profileコマンドでERPインスタンスに登録します。各種タイマーは、timerコマンドで作成します。

補 足

作成可能なプロファイルの最大数は8個です。

ガードタイマー

さまざまなR-APSメッセージを連続して受信したときに、連続した状態変化を発生させないために設定します。500ミリ秒に設定した場合は、初めのR-APSメッセージを受信してから500ミリ秒間は、その他の状態変更メッセージが無視されます。

ホールドオフタイマー

障害を検知してから、RPLが有効になるまでの時間を設定します。断続的に障害が検知されるネットワークの場合に設定すると、リングプロテクション(ERPS)による状態変化を回避できます。5秒に設定した場合は、障害を検知してから5秒後にRPLが有効になります。

WTRタイマー

切り戻し機能を有効にした場合に、切り戻しを保留にする時間を設定します。切り戻し機能は、障害が発生したリンクが復旧してから、RPLの使用を終了して通常の状態に自動的に戻す機能です。5分に設定した場合は、リンクが復旧してから5分間は、通常の状態に自動的に戻ることはありません。切り戻し機能は、revertiveコマンドを使用して有効/無効を設定できます。

注 意

運用中は、revertiveコマンドの設定を変更しないでください。

R-APSメッセージ

R-APSメッセージは、リングプロテクション(ERPS)における状態の変化を装置に通知するためのメッセージです。ネットワーク上で障害を検知したときや、障害が発生したリンクが復旧したときに、送信されます。

R-APSメッセージを送受信するためのVLANを、APSチャネルVLANと呼びます。

サブリング

装置を2つのリングトポロジーで接続した場合、一方のリングをメジャーリング、他方をサブリングと呼びます。サブリングは、メジャーリングを構成する2つのノードとその間のリンクを含みます。下図の場合は装置1~3で構成するリングをメジャーリング、装置2~4で構成するリングをサブリングと呼びます。

補 足

メジャーリングとサブリングが共用するリンクを接続するポートは、メジャーリングのリングポートとして設定してください。なお、リングポートとして設定したポートは、サブリングのリングポートとしては設定できません。

補 足

メジャーリングとサブリングが共用するリンクにおいて障害が検知された場合は、メジャーリングのRPLが転送用リンクとして使用されます。

サブリングの概要

サブリングは、sub-ringコマンドで設定します。また、サブリングのトポロジーが変更された場合に、メジャーリングにトポロジー変更通知(TCN)を伝達するには、tcn-propagationコマンドを使用します。

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