第4編
レイヤー2

MMRP-Plusの機能説明

MMRP-Plus(Multi Master Ring Protocol Plus)は、リング型ネットワークで利用できるレイヤー2における冗長プロトコルです。MMRP-Plusでは、リングポートマスターポートスレーブポート、およびアウェアポート)を設定します。また、すべてのVLANをマスターVLANまたはスレーブVLANに分類します。通常時は、マスターポートではマスターVLANのフレームを中継し、スレーブVLANのフレームの中継を抑止します。スレーブポートではスレーブVLANのフレームを中継し、マスターVLANのフレームの中継を抑止します。

MMRP-Plusの機能概要(通常時)

MMRP-Plusリング(以後、リング)上で障害を検知したときは、マスターポートおよびスレーブポートでブロックされていたフレームの中継が開始され、経路を自動的に切り替えます。

MMRP-Plusの機能概要(障害発生時)

装置全体でMMRP-Plusを有効化するには、mmrp-plus enableコマンドを使用します。

装置種別とリングポート種別

MMRP-Plusのリングは、1台のマスター装置と複数台のアウェア装置から構成されます。このような構成をシングルマスター構成と呼びます。

マスター装置にはマスターポートとスレーブポートを1ポートずつ設定し、アウェア装置にはアウェアポートを2ポート設定します。リングポートには、ポートまたはポートチャネルを設定できます。

装置種別とリングポート種別

マスター装置にマスターポートとスレーブポートを設定するには、mmrp-plus ring ring-masterコマンドを使用します。アウェア装置にアウェアポートを設定するには、mmrp-plus ring awareコマンドを使用します。

注 意

MMRP-Plusのリングポートでは、CFMを有効にしないでください。

補 足

NP7000、NP5000、NP3000、NP2100、NP2000、およびNP2500では、リングポートは装置ごとに最大50個まで設定できます。スタック構成を組んでいても、リングポート数は装置1台分の値となります。

補 足

NP4000では、リングポートは装置ごとに最大24個まで設定できます。スタック構成を組んでいる場合でも、リングポート数は装置1台分の値となります。

補 足

MMRP-Plus制御フレームの送出・中継を他のユーザートラフィックよりも優先させるために、MMRP-Plusのリングポートでは制御フレームを中継する送信キュー(デフォルト設定では送信キュー7)がStrict Priority Queuingでスケジューリングされるように設定してください。なお、一部の機種(ApresiaNP5000シリーズ、ApresiaNP4000シリーズ)では、対象ポートが輻輳状態の場合にmls qos scheduler設定を正常に変更できない制限があるため、mls qos scheduler設定を変更する際は、対象ポートをshutdown設定で閉塞した状態にしてください。

補 足

従来のAEOS製品(Ver7、8)とMMRP-Plusのリングを構成することが可能です。AEOS製品とMMRP-Plusのリング構成を組む場合には、事前に十分な検証を行ってください。

リング名

MMRP-Plusのリング名を設定するには、mmrp-plus ring nameコマンドを使用します。

リングポートのステータス

リングポート(マスターポート、スレーブポート、およびアウェアポート)のステータスは、Blocking状態、Forwarding状態、Down状態、Failure状態、およびListening状態が定義されています。

Blocking状態およびForwarding状態

リングポートで通信が行われている状態です。

Blocking状態およびForwarding状態

マスターポートがBlocking状態のときは、マスターVLANを中継し、スレーブVLANの中継を抑止します。スレーブポートがBlocking状態のときは、スレーブVLANを中継し、マスターVLANの中継を抑止します。

リングポートがForwarding状態のときは、マスターVLANおよびスレーブVLANを中継します。

補 足

アウェアポートは、Blocking状態になりません。

Down状態

障害を検知し、通信不可の状態です。

Down状態

通信不可とは、以下の状態を示します。

  • リングポートがポートで構成されている場合:そのポートがリンクダウン、またはLLDPによる疑似リンクダウンになった状態
  • リングポートがポートチャネルで構成されている場合:ポートチャネルを構成するすべてのポートが通信不可になった状態
Failure状態およびListening状態

障害が復旧してから、リングが通常時に戻るまでの状態です。

Failure状態およびListening状態

Failure状態は、リングポートを構成するポート、ポートチャネルはリンクアップしているが、リングポートとしては通信不可の状態です。障害復旧時に、リングポートがDown状態とListening状態を繰り返し、リング状態が不安定になる場合があります。Failure状態は、そのような状態を避けるために時間をおいて切り戻しを開始する仕組みです。

Listening状態は、リングポートを構成するポート、ポートチャネルはリンクアップしているが、通信不可の状態です。ハローフレームなど、MMRP-Plus制御フレームの送受信は可能です。

Failure状態およびListening状態に遷移する条件は、切り戻し方法により異なります。

  • 切り戻し方法が自動切り戻し(切り戻りタイマー値:0)の場合:Down状態からの障害復旧後、ただちにListening状態へ遷移します。Failure状態には遷移しません。
  • 切り戻し方法が自動切り戻し(切り戻りタイマー値:0以外)の場合:Down状態からの障害復旧後、切り戻りタイマーが経過すると、自動的にListening状態へ遷移します。
  • 切り戻し方法が手動切り戻しの場合:Failure状態でclear mmrp-plus failure ringコマンドを実行すると、Listening状態へ遷移します。
MMRP-Plus制御フレームのVLAN

ハローフレームなどのMMRP-Plus制御フレームを送受信するVLAN(MMRP-Plus制御用VLAN)を指定します。MMRP-Plus制御用VLANは、「MMRP-Plus制御フレームを送受信する専用VLAN」としてリングごとに用意し、ユーザーVLANと分けることを推奨します。MMRP-Plus制御用VLANを指定するには、mmrp-plus ring vidコマンドを使用します。

MMRP-Plus制御フレームは、制御用VLANのVLAN IDが含まれたタグ付きフレームとして送信されます。そのため、リング上の装置ではリングポートをトランクポートとして設定し、MMRP-Plus制御用VLANを割り当ててください。

MMRP-Plus制御フレーム

MMRP-Plus制御フレームは、以下のとおりです。

ハローフレーム

HelloB1:Blocking状態のスレーブポートが送出するハローフレーム

HelloB2:Blocking状態のマスターポートが送出するハローフレーム

HelloF1:Forwarding状態のスレーブポートから送出するハローフレーム

HelloF2:Forwarding状態のマスターポートから送出するハローフレーム

ハローフレーム以外のMMRP-Plus制御フレーム

リングの状態が変わった際に送出されます。

FDB Flush:MMRP-Plusの状態遷移に伴い、トラフィックの経路が変わった場合にマスターポートおよびスレーブポートが送出するFDBフラッシュ要求フレーム

Link Down:リングポートダウン時にアウェアポートが送出するリンクダウン通知フレーム

Link Up:アップリンクポートがリンクアップした際にマスターポートおよびスレーブポートが送出するリンクアップ通知フレーム

Blocking:マスターポートおよびスレーブポートがBlocking状態に移行した際にマスターポートおよびスレーブポートが送出する通知フレーム

分散マスター構成

複数のリングを接続してネットワークを拡張する際、異なるリングを接続するポイントを1台の装置にすると、その装置に障害が発生した場合にリングをまたぐ通信ができなくなってしまいます。

シングルマスター構成の多段接続の例

そこで、複数のリングの接続を2台の装置(分散マスター装置および分散スレーブ装置)に分散することで、一方の装置に障害が発生しても、異なるリングをまたぐ通信が停止しないようにします。このような構成を分散マスター構成と呼びます。分散マスター構成の場合は、分散マスター装置にマスターポートを、分散スレーブ装置にスレーブポートを設定します。

分散マスター構成

分散マスター装置にマスターポートを設定するには、mmrp-plus ring divided-masterコマンドを使用します。分散スレーブ装置にスレーブポートを設定するには、mmrp-plus ring divided-slaveコマンドを使用します。

補 足

分散マスター装置と分散スレーブ装置は、直接接続することを推奨します。他の装置を接続する場合、その装置は分散マスター構成のリング外の装置となるため、MMRP-Plusによる経路の切り替え/切り戻し時にFDBテーブルが消去されません。これは、経路の切り替え/切り戻し時間が長くなる原因になります。リング外の装置のFDBテーブルを消去するには、リング上の装置からリング外の装置に向けてFDBフラッシュフレームを送信します。FDBフラッシュフレームを送信するように設定するには、mmrp-plus ring transmit-fdb-flush portコマンドを使用します。

VLAN分散

MMRP-Plusでは、マスターポートおよびスレーブポートがフレームの中継を抑止してループを回避しています。ただし、各ポートがすべてのフレームの中継を抑止しているわけではなく、VLANごとにフレームの中継および抑止を切り替えています(VLAN分散)。

VLAN分散では、VLANグループを作成し、すべてのVLANをマスターVLANまたはスレーブVLANに分類します。マスターポートでは「正常時にはマスターVLANのフレームを中継し、スレーブVLANのフレームの中継を抑止する」、スレーブポートでは「正常時にはスレーブVLANのフレームを中継し、マスターVLANのフレームの中継を抑止する」ように動作します。デフォルトでは、すべてのVLANがマスターVLANに分類されています。VLANをスレーブVLANに設定するには、mmrp-plus vlangroup slave-vidコマンドを使用します。

次に、マスター装置、分散マスター装置、および分散スレーブ装置で、リングにVLANグループを割り当てます。リングにVLANグループを割り当てるには、mmrp-plus ring vlangroupコマンドを使用します。

注 意

稼働中のリングに適用済みのVLANグループの設定内容(mmrp-plus vlangroup slave-vid)を変更する場合は、リング内の任意の経路がリンクダウン(マスター装置およびスレーブ装置のMMRP-Plusリングポートの状態がForwardingまたはDown)しているときに行ってください。リング内の経路がすべてリンクアップしているときに変更を行うと、ループが発生する可能性があります。

補 足

アウェアポートではフレームの中継を抑止することはなく、常にすべてのVLANのフレームを中継します。

補 足

同じVLANグループを異なる複数のリングに割り当てることもできます。

補 足

VLANグループをリングに割り当てない場合、そのリングは全VLANが「マスターVLAN」として動作します。

補 足

分散マスター構成でVLAN分散を使用する場合は、分散マスター装置と分散スレーブ装置を同一の設定にしてください。

補 足

リングの動作中は、VLANグループの割り当てができません。VLANグループの割り当て、およびVLANグループの変更は、リング構成を解除し、no mmrp-plus enableコマンドでリングの動作を停止してから行ってください。

正常時、障害発生時、および障害復旧時の動作

MMRP-Plusのリングに障害が発生した場合の動作、および復旧した場合の動作を説明します。

正常時

正常時は、マスターポートでは、マスターVLANのフレームを中継し、スレーブVLANのフレームの中継を抑止します。また、スレーブポートでは、スレーブVLANのフレームを中継し、マスターVLANのフレームの中継を抑止します。

正常時の動作例

正常時のリングポートの状態およびコネクション状態は、以下のとおりです。正常時は、マスターポートまたはスレーブポートから送信されるハローフレームは、リング上で正常に中継されます。

正常時のリングポートの状態およびコネクション状態
リングポートMMRP-Plus状態マスターVLAN状態スレーブVLAN状態コネクション状態
マスターポート Blocking状態 Forwarding状態 Blocking状態 Normal状態
スレーブポート Blocking状態 Blocking状態 Forwarding状態 Normal状態
アウェアポート Forwarding状態 Forwarding状態 Forwarding状態 Normal状態

リンクダウン障害発生時

リンクダウン障害発生時は、リンクダウンしたリングポートのポートステータスがDown状態へ遷移します。一方のアウェアポートがDown状態に遷移したアウェア装置は、もう一方のアウェアポートからLinkdown通知フレームを送信します。マスターポートおよびスレーブポートはLinkdown通知フレームを受信することで、リング上でリンクダウンを伴う障害が発生したこと検知します。

リンクダウン障害発生時の動作例

リング上の障害を検知したときは、マスターポートのスレーブVLAN、およびスレーブポートのマスターVLANがForwarding状態へ遷移し、経路を自動的に切り替えます。経路を切り替える際、通信が復旧するまでの時間を短縮するために、リング上の各装置のFDBテーブルを消去します。障害発生時にFDBテーブルを消去するポートを限定するには、mmrp-plus ring fdb-flush portコマンドを使用します。

リンクダウン障害発生後の経路切り替え時の動作例

切り替わり後のリングの動作例は以下のとおりです。

切り替わり後のリングの動作例

リンクダウン障害発生時のリングポートの状態およびコネクション状態は、以下のとおりです。

リンクダウン障害発生時のリングポートの状態およびコネクション状態
リングポートMMRP-Plus状態マスターVLAN状態スレーブVLAN状態コネクション状態
マスターポート Forwarding状態 Forwarding状態 Forwarding状態 Broken状態
スレーブポート Forwarding状態 Forwarding状態 Forwarding状態 Broken状態
アウェアポート Forwarding状態 Forwarding状態 Forwarding状態 Normal状態またはBroken状態*1
リンクダウン障害が発生したアウェアポート Down状態 Down状態 Down状態 Broken状態

*1:マスター装置側のアウェアポートはNormal状態、障害が発生しているリンク側のアウェアポートはBroken状態になります。

ハローフレームタイムアウトによる障害検知時

リンクダウンを伴わない障害が発生した場合は、ハローフレームタイムアウトにより障害を検知します。たとえば、リングの一部に長距離伝送装置が接続されていて、長距離伝送装置間で障害が発生した場合が該当します。この場合、リングポートはリンクダウンせず、Linkdown通知フレームは送信されません。

ハローフレームタイムアウト障害発生時の動作例

マスターポートおよびスレーブポートは、ハローフレームタイムアウトにより障害を検知します。ハローフレームタイムアウトの時間は、「ハローフレームの受信タイムアウト時間」により決定されます。

ハローフレームの受信タイムアウト時間を設定するには、mmrp-plus ring hello-timeoutコマンドを使用します。

補 足

装置のCPU負荷が高い場合に、ハローフレームタイムアウト時間を小さくすると、MMRP-Plusの状態が不安定になる恐れがあります。

ハローフレームタイムアウトによりリング上の障害を検知したときは、マスターポートのスレーブVLAN、およびスレーブポートのマスターVLANがForwarding状態へ遷移し、経路を自動的に切り替えます。経路を切り替える際、通信が復旧するまでの時間を短縮するために、リング上の各装置のFDBテーブルを消去します。障害発生時にFDBテーブルを消去するポートを限定するには、mmrp-plus ring fdb-flush portコマンドを使用します。

ハローフレームタイムアウト障害発生後の経路切り替え時の動作例

切り替わり後のリングの動作例は以下のとおりです。

切り替わり後のリングの動作例

ハローフレームタイムアウトによる障害検知時のリングポートの状態およびコネクション状態は、以下のとおりです。

ハローフレームタイムアウトによる障害検知時のリングポートの状態およびコネクション状態
リングポートMMRP-Plus状態マスターVLAN状態スレーブVLAN状態コネクション状態
マスターポート Forwarding状態 Forwarding状態 Forwarding状態 Broken状態
スレーブポート Forwarding状態 Forwarding状態 Forwarding状態 Broken状態
アウェアポート Forwarding状態 Forwarding状態 Forwarding状態 Normal状態またはBroken状態*1

*1:マスター装置側のアウェアポートはNormal状態、障害が発生しているリンク側のアウェアポートはBroken状態になります。

障害復旧時

障害復旧時の動作を、リンクダウン障害が復旧した場合を例に説明します。

リンクダウンしていたリングポートがリンクアップすると、切り戻り方法の設定に従って動作します。

  • 切り戻り方法が自動(切り戻りタイマー値:0)の場合:Down状態からの障害復旧後、ただちにListening状態へ遷移します。
  • 切り戻り方法が自動(切り戻りタイマー値:0以外)の場合:Down状態からの障害復旧後、いったんFailure状態へ遷移し、切り戻りタイマー経過後、自動的にListening状態へ遷移します。
  • 切り戻り方法が手動の場合:Failure状態へ遷移し、次にclear mmrp-plus failure ringコマンドを実行すると、Listening状態へ遷移します。

なお、Failure状態では、MMRP-Plus制御フレームを含む全フレームの送受信が抑止されます。

リンクダウン障害復旧後のFailure状態からの切り戻し方法を設定するには、mmrp-plus ring revertiveコマンドを使用します。

補 足

コマンドによる手動切り戻しは、障害復旧時のMMRP-Plus切り戻しを計画的に実施できるメリットがあります。

補 足

MMRP-Plusとレイヤー3機能を併用する場合、切り戻り方法はデフォルト設定(自動切り戻り有効、切り戻りタイマー値:0)で使用することを推奨します。

障害復旧時の動作例(1)

障害復旧時のリングポートの状態およびコネクション状態は、以下のとおりです。

障害復旧時のリングポートの状態およびコネクション状態
リングポートMMRP-Plus状態マスターVLAN状態スレーブVLAN状態コネクション状態
マスターポート Forwarding状態 Forwarding状態 Forwarding状態 Normal状態
スレーブポート Forwarding状態 Forwarding状態 Forwarding状態 Normal状態
アウェアポート Forwarding状態 Forwarding状態 Forwarding状態 Normal状態
リンクダウン障害が発生したアウェアポート Failure状態またはListening状態 Failure状態またはListening状態 Failure状態またはListening状態 Normal状態

リンクダウン障害が発生したアウェアポートがListening状態になると、ハローフレームなどMMRP-Plus制御フレームの送受信は可能になります。その結果、スレーブポートから送信されるハローフレームをマスターポートで受信し、マスターポートから送信されるハローフレームをスレーブポートで受信します。これをきっかけとして、マスター装置はリンクダウン障害が復旧したと判断し、正常時に戻ります。次に、マスターポートが正常時に戻ったことを通知するためのMMRP-Plus制御フレームと、スレーブポートが正常時に戻ったことを通知するためのMMRP-Plus制御フレームを送信します。

障害復旧時の動作例(2)

リンクダウン障害が発生したアウェアポートがマスターポートまたはスレーブポートからのMMRP-Plus制御フレーム(Blocking)を両方とも受信すると、Forwarding状態へ遷移し、経路を自動的に切り替えます。経路を切り替える際、通信が復旧するまでの時間を短縮するために、リング上の各装置のFDBテーブルを消去します。

リンクダウン障害発生後の経路切り替え時の動作例

リスニングタイムアウト時間

マスターポートまたはスレーブポートを設定した装置の負荷が大きいために、通常どおり復旧動作が行われているにもかかわらずリスニングタイムアウトを検知する場合があります。その場合は、リスニングタイムアウト時間を大きく設定して、タイムアウトを回避します。リスニングタイムアウト時間を設定するには、mmrp-plus ring listening-timerコマンドを使用します。

アップリンクポート連携機能

注 意

アップリンクポート連携機能は、分散マスター装置または分散スレーブ装置で使用できます。シングルマスター構成のマスター装置や、アウェア装置では使用できません。

注 意

同一リングでは、アップリンクポート連携機能とポートリスタート機能は併用できません。

注 意

同一ポートでは、アップリンクポート連携機能とポートリダンダントは併用できません。

注 意

ネットワーク構成によっては、指定するアップリンクポートが不足している場合に、アップリンクポート連携機能動作時にループ状態になることがあります。そのため、アップリンクポート連携機能を使用する場合は、十分に事前検討した上で使用してください。

補 足

アップリンクポート連携機能は、NP7000の1.06.01以降、NP5000の1.05.01以降、NP4000の1.03.01以降、NP3000の1.06.01以降、NP2100の1.09.02以降、NP2000の1.07.01以降、NP2500の1.08.02以降でサポートしています。

アップリンクポート連携機能は、分散マスター構成のリングでのみ有効なオプション機能です。アップリンクポートに設定したすべてのポートがリンクダウンした場合に、当該MMRP-Plusを強制的に切り替えます。また、アップリンクポートに設定したポートのうち1ポートでもリンクアップした場合は、当該MMRP-Plusを切り戻します。

たとえば、下図のような構成で、シングルマスター構成のリングの2カ所がリンクダウンする二重障害が発生した場合、シングルマスター構成のリングは切り替わりますが、分散マスター構成のリングは切り替わりません。そのため、「sw1,sw3~sw2,sw4の間のマスターVLANの通信」、および「sw2~sw1,sw3,sw4の間のスレーブVLANの通信」はできなくなります。

二重障害発生時のリングの切り替わり

このような状況を回避するために、アップリンクポート連携機能を使用します。下図のようにアップリンクポートが設定されている場合、すべてのアップリンクポートがリンクダウンした分散マスター装置では、アップリンクポート連携機能が動作してマスターポートはForwarding状態に遷移します。同時に、マスターポートからのハローフレーム送信を停止し、Linkdown通知フレームを送信して分散マスター構成のリングも強制的に切り替えます。これにより、すべてのスイッチ間でマスターVLANとスレーブVLANの通信が可能になります。

アップリンクポート連携機能(1)

分散スレーブ装置のすべてのアップリンクポートがリンクダウンした場合は、アップリンクポート連携機能が動作してスレーブポートがForwarding状態に遷移します。同時に、スレーブポートからのハローフレーム送信を停止し、Linkdown通知フレームを送信して分散マスター構成のリングを強制的に切り替えます。

アップリンクポート機能(2)

アップリンクポート連携機能を設定するには、mmrp-plus ring uplink portコマンドを使用します。

補 足

mmrp-plus ring uplink portコマンドは既存の設定を上書きするため、設定時はすべての対象ポートを指定して実行してください。また、ポートチャネルを対象にする場合は、そのポートチャネルのすべてのメンバーポートを指定してください。

ネットワーク構成によっては、指定するアップリンクポートが不足している場合に、アップリンクポート連携機能動作時にループ状態になることがあることに注意してください。たとえば、下図の構成のように、片方のアウェアポートだけをアップリンクポートとして設定した場合は、そのポートがリンクダウンすると、シングルマスター構成のリングだけでなく、アップリンクポート連携機能によって分散マスター構成のリングも切り替わります。その結果、ループ状態になってしまいます。そのため、アップリンクポート連携機能を使用する場合は、十分に事前検討した上で使用してください。

アップリンクポート不足時のループ状態

ポートリスタート機能

注 意

ポートリスタート機能は、分散マスター装置、分散スレーブ装置、およびシングルマスター構成のマスター装置で使用できます。アウェア装置では使用できません。

注 意

同一リングでは、アップリンクポート連携機能とポートリスタート機能は併用できません。

補 足

ポートリスタート機能は、NP7000の1.06.01以降、NP5000の1.06.01以降、NP4000の1.03.01以降、NP3000の1.06.01以降、NP2100の1.09.02以降、NP2000の1.07.01以降、NP2500の1.08.02以降でサポートしています。

ポートリスタート機能は、非MMRP-Plusスイッチ(MMRP-Plusが動作しない他社スイッチなど)を接続する場合に有効なオプション機能です。基本的には「1台の非MMRP-Plusスイッチを、分散マスタースイッチと分散スレーブスイッチに直接接続して収容する」構成で使用します。

たとえば、下図のような構成で、マスターポートがリンクダウンする障害が発生した場合は、マスターVLANは分散スレーブ装置を経由して通信することになります。そのため、非MMRP-PlusスイッチではマスターVLANのPC1をポート2で学習します。

ポートリスタート機能(1)

この状態からマスターポートがリンクアップして障害が復旧した場合は、マスターVLANは分散マスター装置を経由して通信することになります。しかし、非MMRP-Plusスイッチでは復旧時にFDBフラッシュはされないため、PC1をポート2で学習したままになります。そのため、PC1をポート1で再学習するか、またはエージング時間が経過してFDBエントリーが消去されるまでは、非MMRP-PlusスイッチではPC1宛てのトラフィックを通信できないポート宛てに中継することになります。

このような状況を回避するために、ポートリスタート機能を使用します。ポートリスタート機能を有効にしていると、マスターポートの障害復旧時にはスレーブポートを瞬断させます。スレーブポートの障害復旧時にはマスターポートを瞬断させます。これにより、非MMRP-PlusスイッチのFDBエントリーの消去を促します。

ポートリスタート機能(2)

ポートリスタート機能を設定するには、mmrp-plus ring port-restart enableコマンドを使用します。

FDBフラッシュフレーム送信によるFDBテーブル消去機能

注 意

FDBフラッシュフレーム送信機能は、分散マスター装置または分散スレーブ装置で使用できます。シングルマスター構成のマスター装置や、アウェア装置では使用できません。

「FDBフラッシュフレーム送信によるFDBテーブル消去機能」は、以下の条件をすべて満たす構成の場合に有効なオプション機能です。

  • 分散マスター構成で使用している。
  • 分散マスター装置と分散スレーブ装置のアップリンクポートが、別のリングのリングポートになっている。
  • 分散マスター装置と分散スレーブ装置の間に別のリングのアウェア装置が接続されている。
  • 分散マスター構成のリングの切り替わり/切り戻り時に、中継方向が変更される通信が存在する。

この条件を満たす構成において、分散マスター構成のリングで障害が発生した場合に、経路の切り替わり/切り戻りが発生した際、通信が復旧するまでに時間を要することがあります。「FDBフラッシュフレーム送信によるFDBテーブル消去機能」を有効にすると、通信が復旧するまでの時間を短縮できます。

本機能が無効の場合に、通信が復旧するまでに時間を要することがある理由と、本機能を有効にした場合の動作を説明します。

FDBフラッシュフレーム送信によるFDBテーブル消去機能の動作例(1)

この構成例では、正常時は、分散スレーブ装置のスレーブポートでマスターVLANのフレームの中継が抑止されているため、PC1とPC2間の通信経路は、図のようになります。したがって、アウェア装置(A1)は、PC2をポート1/0/1方向に学習します。ここで、PC1→PC2方向の片方向通信しか行われていないタイミングで、リング(1)で障害が発生した場合の動作について説明します。

FDBフラッシュフレーム送信によるFDBテーブル消去機能の動作例(2)

リング(1)で障害が発生するとリング(1)上の装置が障害を検知し、経路を自動的に切り替えます。経路を切り替える際、通信が復旧するまでの時間を短縮するために、リング上の各装置のFDBテーブルを消去します。一方、アウェア装置(A1)はリング(1)の外にあるため、FDBテーブルが消去されません。この結果、アウェア装置(A1)では、PC2宛てのフレームをポート1/0/1に送信し続けるため、通信できなくなります。この通信が復旧するタイミングは、以下のいずれかです。

  • FDBエージング時間が経過してPC2のFDBエントリーが消去されるとき。
  • PC2からの通信によりFDBエントリーが再学習されるとき。

そこで、通信が復旧するまでの時間を短縮するために、本機能を有効にして、リング(1)の経路の切り替え/切り戻し時に、分散マスター装置および分散スレーブ装置のアップリンクポートが所属するリング(2)に対してFDBフラッシュフレームを送信して、リング(2)上の装置のFDBテーブルを消去します。これにより、PC2宛ての通信が復旧します。

FDBフラッシュフレーム送信によるFDBテーブル消去機能の動作例(3)

FDBフラッシュフレーム送信によるFDBテーブル消去機能を有効にするには、mmrp-plus ring transmit-fdb-flush portコマンドを使用します。

補 足

シングルマスター構成の場合や、分散マスター装置と分散スレーブ装置が直接接続されている場合は、本機能を有効化する必要はありません。

FDBフラッシュフレーム中継機能

注 意

FDBフラッシュフレーム中継機能は、分散マスター装置または分散スレーブ装置で使用できます。シングルマスター構成のマスター装置や、アウェア装置では使用できません。

分散マスター構成では、リング境界の分散マスター装置および分散スレーブ装置はFDBフラッシュフレームを中継しません。FDBフラッシュフレームを中継させるように設定するには、mmrp-plus ring transmit-fdb-flush retransmit enableコマンドを使用します。

FDBフラッシュフレーム中継機能の動作例(1)

この構成例では、正常時は、分散スレーブ装置のスレーブポートで、マスターVLANのフレームの中継が抑止されているため、PC1とPC2間の通信経路は、図のようになります。したがって、アウェア装置(A2)は、PC2をポート1/0/2方向に学習します。

ここで、PC1→PC2の経路となるリング(4)で障害が発生した場合の動作を説明します。

FDBフラッシュフレーム中継機能の動作例(2)

このとき、リング(4)の分散マスター装置および分散スレーブ装置の「FDBフラッシュフレーム送信によるFDBテーブル消去機能」が有効であれば、各装置が接続されているリング(1)およびリング(3)にFDBフラッシュフレームが送信され、FDBテーブルが消去されます。

しかし、リング(2)にはFDBフラッシュフレームが中継されないため、アウェア装置(A2)のFDBテーブルは消去されません。この結果、アウェア装置(A2)では、PC2宛てのフレームをポート1/0/2に送信し続けるため、通信できなくなります。この通信が復旧するタイミングは、以下のいずれかとなります。

  • FDBエージング時間が経過してPC2のFDBエントリーが消去されるとき。
  • PC2からの通信によりFDBエントリーが再学習されるとき。

そこで、通信が復旧するまでの時間を短縮するために、リング(3)の分散マスター装置で本機能を有効にして、リング(4)の経路の切り替え/切り戻し時に送信されるFDBフラッシュフレームをリング(2)まで中継し、リング(2)上のアウェア装置のFDBテーブルを消去します。これにより、PC2宛ての通信が復旧します。

FDBフラッシュフレーム中継機能の動作例(3)

リングの経路が変更されたときに、FDBテーブルを消去するためのFDBフラッシュフレームを送信するポートを設定するには、mmrp-plus ring transmit-fdb-flush portコマンドを使用します。FDBフラッシュフレームをリング境界の分散マスター装置および分散フレーム装置で別リングへ中継する機能を設定するには、mmrp-plus ring transmit-fdb-flush retransmit enableコマンドを使用します。

FDBフラッシュ対象ポート(fdb-flush port)

ApresiaNPシリーズでは、MMRP-PlusのFDBフラッシュ時に装置全体のFDBテーブルを消去します。この動作を特定ポートのFDBテーブルのみ消去するように変更できます。

FDBフラッシュ時にFDBテーブルを消去する対象ポートを限定するには、mmrp-plus ring fdb-flush portコマンドを使用します。

補 足

FDBフラッシュ対象ポートを限定する場合は、自リングのリングポートを含めるように設定してください。

補 足

mmrp-plus ring fdb-flush portコマンドは既存の設定を上書きするため、設定時はすべての対象ポートを指定して実行してください。また、ポートチャネルを対象にする場合は、そのポートチャネルのすべてのメンバーポートを指定してください。

MACアドレス学習停止時間(fdb-flush timer)

片方向通信の場合は、切り替え/切り戻し時に新しい経路をすぐに再学習できません。そこでMMRP-Plusでは、切り替え/切り戻し時に装置のFDBテーブルを消去することで、片方向通信の場合でも高速な切り替えを実現しています。

ただし、リング上に他社製スイッチが混在している場合は、切り戻し時にリングがループ状態になり、誤った方向にMACアドレスを学習してしまう可能性があります。これを防止するため、FDBテーブルを消去する際にいったんMACアドレスの学習を停止し、MACアドレス学習停止時間FDBフラッシュタイマー)が経過した後、学習を再開する仕組みになっています。

MACアドレス学習停止時間を設定するには、mmrp-plus ring fdb-flush timerコマンドを使用します。

補 足

レイヤー3機能とMMRP-Plusを併用する場合、MACアドレス学習停止時間を0秒に設定することを推奨します。

他社製スイッチが混在する場合

リング上のすべての装置をMMRP-Plusをサポートしている装置で統一し、MMRP-Plusを動作させることを推奨します。リング上に他社製スイッチが混在している場合は、以下のような問題があります。

  • 他社製スイッチ間にリンクダウン障害が発生しても、Linkdown通知フレームによる高速な切り替えはできません。ハローフレームタイムアウトによりリング上の障害を検知します。
  • 他社製スイッチ間の障害から切り戻しする際にループ状態になります。ループ状態は、リンクダウン障害が復旧した時点から、マスターポートおよびスレーブポートがBlocking状態へ遷移し、リングが正常状態に戻るまで継続されます。
    補 足

    障害復旧時に、リング上のすべての装置でMMRP-Plusが動作している場合は、障害復旧時にListening状態へ遷移するため、ループ状態にはなりません。

    補 足

    ループ状態を防止するために、障害の原因となった箇所の片側または両側のリングポートを無効にすることを推奨します。インターフェースを無効にするには、shutdownコマンドを使用します。

  • 他社製スイッチでは、MMRP-Plusの切り替え/切り戻し時にFDBテーブルが消去されません。それにより、他社製スイッチを経由する通信の切り替え/切り戻し時間が長くなることがあります。

MMRP-Plusの制限事項および注意事項

機能併用に関する制限事項および注意事項
  • MMRP-Plusと各種スパニングツリー(xSTP)は、装置内では併用できません。
  • MMRP-PlusとERPSは、装置内では併用できません。
  • スタック構成をシングルマスターにする際、スタックを構成する装置を跨いだポートチャネルをリングポートとしては使用できません。
  • スタック構成を分散マスター、分散スレーブにする際、スタックを構成する装置を跨いだポートチャネルをリングポートとしては使用できません。
  • MMRP-PlusリングポートのFailure状態は切り戻り途中の通信不可な状態ですが、物理ポートはリンクアップしているため、レイヤー3機能のVLANインターフェースとしてはリンクアップしているポートとして扱われます。これにより、同一装置でMMRP-Plusとレイヤー3機能を併用している場合に、ネットワーク構成によっては余分な通信不可時間が増えることも考えられます。そのため、MMRP-Plusとレイヤー3機能を併用する場合、切り戻り方法(mmrp-plus ring revertiveコマンド)はデフォルト設定(自動切り戻り有効、切り戻りタイマー値:0)で使用することを推奨します。
切り替わりにおける注意事項
  • NP5000で40GポートをMMRP-Plusのリングポートに使用する場合、切り替わりには最大1秒程度要する場合があります。

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