第4編
レイヤー2

レイヤー2基本機能の機能説明

ローカルエリアネットワークでは主にイーサネットが利用されており、フレームという単位でデータを送受信します。一般的なハブでは受信したフレームをすべてのホストに中継し、ホストでは宛先が自装置ではないフレームは破棄します。つまり、一般的なハブでは帯域を無駄に消費していることになります。

一般的なハブによるフレームの送受信

レイヤー2スイッチでは、MACアドレステーブルに登録された情報(MACアドレス、接続ポート、VLAN)を基に宛先のホストだけに中継します。これにより、帯域を効率よく利用できます。

レイヤー2スイッチによるフレームの送受信

MACアドレステーブルの更新

レイヤー2スイッチは、フレームを受信すると送信元MACアドレスを学習してMACアドレステーブルに登録します。登録済みエントリーからのフレームを受信すると、そのエントリーが削除されるまでの時間が更新されます。また、同一VLANの異なるポートで登録済みエントリーからのフレームを受信すると、接続ポート情報が更新されます。なお、VLANが異なる場合は同じMACアドレスでも別エントリーとして扱われます。

また、送信元MACアドレスが一致する場合だけでなく、宛先MACアドレスが一致する場合に対象エントリーが削除されるまでの時間を更新することもできます。宛先MACアドレスによる更新機能は、デフォルト設定では無効です。有効にするには、mac-address-table aging destination-hitコマンドを使用します。

MACアドレス学習の有効/無効

デフォルト設定では、すべてのポートでMACアドレス学習は有効ですが、物理ポートごとにMACアドレス学習を無効にできます。なお、ポートチャネルでMACアドレス学習を無効にする場合は、ポートチャネルのすべてのメンバーポートで無効にしてください。

MACアドレス学習の有効/無効を設定するには、mac-address-table learningコマンドを使用します。

スタティックMACアドレスエントリー

MACアドレステーブルには、スタティックにMACアドレスエントリーを設定できます。スタティックMACアドレスエントリーとして、以下の3種類のエントリーを設定できます。

  • ユニキャストMACアドレス宛てのエントリー
  • dropパラメーター指定のエントリー
  • マルチキャストMACアドレス宛てのエントリー

ユニキャストMACアドレス宛てのスタティックMACアドレスエントリーの場合、指定したVLANで宛先MACアドレスが一致するフレームを受信した場合に、指定したインターフェースに中継されます。

dropパラメーター指定のスタティックMACアドレスエントリーの場合、指定したVLANで、宛先MACアドレスまたは送信元MACアドレスが指定したMACアドレス(ユニキャストMACアドレスのみ指定可能)と一致するフレームを受信すると、中継されずに破棄されます。

マルチキャストMACアドレス宛てのスタティックMACアドレスエントリーの場合、指定したVLANで宛先MACアドレスが一致するフレームを受信した場合に、指定したインターフェース(複数指定可能)に中継されます。

スタティックMACアドレスエントリーの最大設定数を以下に示します。

スタティックMACアドレスエントリーの最大設定数
対象機種ユニキャストMACアドレス 宛てdrop指定マルチキャストMACアドレス 宛て
NP7000 1.10.01以降、NP5000 1.09.01以降 2,048 2,048 128
NP7000 1.10.01より前のバージョン
NP5000 1.09.01より前のバージョン
256 256 128
NP3000 1.10.01以降 2,048 2,048 1,024
NP3000 1.10.01より前のバージョン 2,048 256 1,024
NP4000、NP2100、NP2000、NP2500 256 256 128

スタティックMACアドレスエントリーを設定するには、mac-address-table staticコマンドを使用します。

MACアドレステーブルのエージングタイム

MACアドレステーブルに登録されたエントリーは、エージングタイムとして設定した時間内のみ保持されます。エージングタイム内に送信元MACアドレスが一致するフレームを受信しなかった場合、そのエントリーは削除されます。

MACアドレステーブルのエージングタイムは、デフォルト設定では300秒です。エージングタイムを設定するには、mac-address-table aging-timeコマンドを使用します。なお、エージングタイムとして0秒を指定した場合は、エージングタイムアウトによる削除が無効化されます。

補 足

実際にMACアドレステーブルからエントリーが削除されるまでの時間は、設定値~設定値×2になります。

ダイナミックMACアドレスエントリーの削除

学習してMACアドレステーブルに登録されたダイナミックMACアドレスエントリーは、手動コマンドで削除することもできます。すべてのダイナミックMACアドレスエントリーの削除だけでなく、MACアドレス指定の削除、ポート指定の削除、VLAN指定の削除も可能です。

ダイナミックMACアドレスエントリーを削除するには、clear mac-address-tableコマンドを使用します。

インターフェースへの説明の追加

インターフェースに説明を追加する場合、説明文を指定してdescriptionコマンドを使用します。

ポートのカウンターのクリア

ポート(物理ポート、CPUポート)のカウンターをクリアするには、clear countersコマンドを使用します。

インターフェースの無効化

インターフェースは、デフォルト設定では有効です。インターフェースを無効にするには、インターフェースの設定モードでshutdownコマンドを使用します。

注 意

shutdownコマンドを実行した場合、1つのポートを無効化するために数百ミリ秒の時間を要します。そのため、同時に複数ポートに対してshutdownコマンドを実行した場合、すべてのポートの無効化が完了するまでに数秒から数十秒程度の時間を要します。

レイヤー2 VLANインターフェース

レイヤー2 VLANインターフェースは、interface l2vlanコマンドでインターフェース設定モードに遷移し、descriptionコマンドでインターフェースの説明を設定する場合にのみ使用します。show interfaces descriptionコマンドでインターフェースの説明を確認できます。

vlanコマンドでVLANを作成すると対応するレイヤー2 VLANインターフェースも作成されますが、descriptionコマンドを設定していない状態では、構成情報にinterface l2vlanは表示されません。

ジャンボフレームの変更

ジャンボフレームは、装置が許容する最大イーサネットフレームサイズで、デフォルト設定では1,536バイトです。最大イーサネットフレームサイズを変更するには、max-rcv-frame-sizeコマンドを使用します。

参 照

max-rcv-frame-sizeコマンドの設定値に対する動作は、対象ポート種別や機種によって異なります。詳細については、『コマンドリファレンス』を参照してください。

管理用IPアドレスの設定

レイヤー3ライセンスが無効なNP7000、NP5000、およびNP3000でも、ネットワーク経由で管理するために、VLANインターフェースやマネージメントポートにIPアドレスを設定できます。また、IPv4のデフォルトスタティックルートとIPv6のデフォルトスタティックルートも、それぞれ1つずつ設定できます。

NP4000、NP2100、およびNP2000にはレイヤー3ライセンスはありませんが、VLANインターフェースやマネージメントポートのIPアドレスを設定できます。また、スタティックルートも設定できます。

NP2500ではVLAN間のレイヤー3中継はできませんが、管理用としてマネージメントポート以外に1つのVLANにのみIPアドレスを設定できます。また、IPv4のデフォルトスタティックルートとIPv6のデフォルトスタティックルートも、それぞれ1つずつ設定できます。

参 照

IPアドレスやスタティックルートの設定については、「第5編 レイヤー3」の「レイヤー3基本機能」を参照してください。

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