レイヤー2基本機能の機能説明
装置とホストでLANを構築し、装置がレイヤー2でデータを中継する場合、フレームという単位でデータを送受信します。レイヤー2では、LAN内の通信にイーサネットを利用します。イーサネットで使用されるフレームをイーサネットフレームと呼びます。
一般的なハブの場合、イーサネットを利用した通信ではフレームがすべてのホストに送信されます。これをブロードキャストといいます。フレームを受信したホストは、宛先が自分ではない場合、受信したフレームを破棄します。つまり、LAN内を不要なデータが流れていることになり、帯域を無駄に消費していることになります。
一般的なハブによるフレームの送受信

装置は、イーサネットでレイヤー2スイッチとして動作します。レイヤー2スイッチは、不要なフレーム送信をせず、宛先のホストだけにフレームを転送します。これをユニキャストといいます。ユニキャストでは無駄なフレームがLAN内に流れないため、帯域を効率よく利用できます。
装置は、ユニキャストを実現するために、接続されているホストのMACアドレスと、ホストが接続されているポートまたはVLANの対応情報をMACアドレステーブルに登録します。装置がフレームを受信すると、フレーム内の宛先MACアドレスをMACアドレステーブルと照合し、宛先のホストが接続されているポートまたはVLANにだけフレームを転送します。
レイヤー2スイッチによるフレームの送受信

MACアドレステーブルの更新
装置は、常にフレームの送信元のMACアドレスを学習し、ポートやVLANの情報とともにMACアドレステーブルをダイナミックに更新します。
また、送信元のMACアドレスだけではなく、宛先MACアドレスでMACアドレステーブルをダイナミックに更新することもできます。
宛先MACアドレスによるMACアドレステーブルの更新は、デフォルト設定では無効です。宛先MACアドレスによるMACアドレステーブルの更新を有効にするには、mac-address-table aging destination-hitコマンドを使用します。
MACアドレステーブルの更新

MACアドレス学習の有効/無効
デフォルト設定では、すべてのポートでMACアドレス学習は有効ですが、物理ポートごとにMACアドレス学習を無効にできます。なお、ポートチャネルでMACアドレス学習を無効にする場合は、ポートチャネルのすべてのメンバーポートで無効にしてください。
MACアドレス学習の有効/無効を設定するには、mac-address-table learningコマンドを使用します。
スタティックMACアドレスの追加
スタティックMACアドレスをMACアドレステーブルに追加するには、任意のMACアドレス、およびMACアドレスに関連付けるVLAN IDを指定し、mac-address-table staticコマンドを使用します。
NP7000、NP5000の1.09.01より前のバージョン、NP4000、NP2100、NP2000、およびNP2500では、スタティックMACアドレスの最大登録数は640エントリー(ユニキャストMACアドレス:256、dropパラメーター指定のMACアドレス:256、マルチキャストMACアドレス:128)です。
NP5000の1.09.01以降では、スタティックMACアドレスの最大登録数は4,224エントリー(ユニキャストMACアドレス:2,048、dropパラメーター指定のMACアドレス:2,048、マルチキャストMACアドレス:128)です。
NP3000では、スタティックMACアドレスの最大登録数は3,328エントリー(ユニキャストMACアドレス:2,048、dropパラメーター指定のMACアドレス:256、マルチキャストMACアドレス:1,024)です。
スタティックMACアドレスの追加

MACアドレステーブルのエージングタイムの変更
MACアドレステーブルの情報は、エージングタイムとして設定した時間内のみ保持されます。エージングタイム内にMACアドレステーブルに登録されたホストからフレームを受信しなかった場合、そのホストの登録情報を破棄します。
MACアドレステーブルのエージングタイムは、デフォルト設定では300秒です。エージングタイムを変更するには、エージングタイムを指定してmac-address-table aging-timeコマンドを使用します。
なお、エージングタイムによるMACアドレステーブルの登録情報の破棄を無効にする場合、エージングタイムに「0」を指定してください。
ダイナミックMACアドレスの削除
MACアドレステーブルに登録されているダイナミックMACアドレスを削除します。MACアドレス、インターフェースID、またはVLAN IDごとに削除できます。また、すべてのダイナミックMACアドレスを削除することもできます。
ダイナミックMACアドレスを削除するには、clear mac-address-tableコマンドを使用します。
インターフェースへの説明の追加
インターフェースに説明を追加する場合、説明文を指定してdescriptionコマンドを使用します。
ポートのカウンターのクリア
ポート(物理ポート、CPUポート)のカウンターをクリアします。ポートごと、またはすべてのポートのカウンターをクリアできます。
ポートのカウンターをクリアするには、clear countersコマンドを使用します。
インターフェースの無効化
インターフェースを無効にします。
インターフェースは、デフォルト設定では有効です。インターフェースを無効にするには、インターフェースの設定モードでshutdownコマンドを使用します。
shutdownコマンドを実行した場合、1つのポートを無効化するために数百ミリ秒の時間を要します。そのため、同時に複数ポートに対してshutdownコマンドを実行した場合、すべてのポートの無効化が完了するまでに数秒から数十秒程度の時間を要します。
レイヤー2 VLANインターフェース
レイヤー2 VLANインターフェースは、interface l2vlanコマンドでインターフェース設定モードに遷移し、descriptionコマンドでインターフェースの説明を設定する場合にのみ使用します。show interfaces descriptionコマンドでインターフェースの説明を確認できます。
vlanコマンドでVLANを作成すると対応するレイヤー2 VLANインターフェースも作成されますが、descriptionコマンドを設定していない状態では、構成情報にinterface l2vlanは表示されません。
ジャンボフレームの変更
ジャンボフレームは、装置が許容する最大イーサネットフレームサイズで、デフォルト設定では1,536バイトです。最大イーサネットフレームサイズを変更するには、max-rcv-frame-sizeコマンドを使用します。
max-rcv-frame-sizeコマンドの設定値に対する動作は、対象ポート種別や機種によって異なります。詳細については、『コマンドリファレンス』を参照してください。
管理用IPアドレスの設定
レイヤー3ライセンスが無効なNP7000、NP5000、およびNP3000でも、ネットワーク経由で管理するために、VLANインターフェースやマネージメントポートにIPアドレスを設定できます。また、IPv4のデフォルトスタティックルートとIPv6のデフォルトスタティックルートも、それぞれ1つずつ設定できます。
NP4000、NP2100、およびNP2000にはレイヤー3ライセンスはありませんが、VLANインターフェースやマネージメントポートのIPアドレスを設定できます。また、スタティックルートも設定できます。
NP2500ではVLAN間のレイヤー3中継はできませんが、管理用としてマネージメントポート以外に1つのVLANにのみIPアドレスを設定できます。また、IPv4のデフォルトスタティックルートとIPv6のデフォルトスタティックルートも、それぞれ1つずつ設定できます。
IPアドレスやスタティックルートの設定については、「第5編 レイヤー3」の「レイヤー3基本機能」を参照してください。